夜の葛城山頂Mount Katsuragi Peak

夏の夜、葛城山の山頂。樹木が鬱蒼と繁る金剛山とちがって葛城山は随分開けていて、霊山的な雰囲気があまりなく、私にはちょっとものたりない。役行者が大峯山に入る前に葛城山にこもって修行したというけれど、それはここではなくきっと隣の金剛山だろうな、などとぼやっと考えつつ暗闇にかすかに山の端を見せる金剛山にカメラをむけてシャッターを押していたときのこと。突然、背後から、ドドドドドドッという地響きが聞こえてきて、振り向く間もなく、私から2mほどのところを猛烈な勢いで何かが(群れをなして?)通り過ぎていきました。その背中の様な部分が一瞬見えたように思いましたが、なにかわからず、瞬間的に頭によぎったのが「魔物」ということばでした。脳がジーッと音をたてて痺れ、そのあとどういう訳か、いやに愉快な気持ちになりました。葛城山にもこんな不可思議なモノがいるのだ、となんだか「もののけ姫」の世界に入り込んだような気分になって、しばらくの間、一人でニヤニヤしながら周りを撮りつづけました。

※大阪会場に展示